大島新聞 平成15年4月20日

山梨大教授ら サトウキビ・キビ酢にガン細胞抑制効果を発表

地域産業興しへスローフード 

 

奄美かけろま長寿食文化研究会

 

 奄美の長寿を支える食文化の機能性を研究し、産業振興へつなげることを目的とした奄美カケロマ長寿食文化研究会(会長・三村精男山梨大学教授)の2003年度第一回研究講演会が十八日夕、瀬戸内町物産館で開かれた。三村教授はソテツ発酵デンプンにがん細胞を自殺させる効果があること、サトウキビ・キビ酢に高いがん細胞増殖の抑制効果があることなどの研究成果を発表した。

 同会は昨年9月に発足。同町、JA奄美などが協力し、ソテツ、キビ酢など奄美独自の食材の機能性を研究している。はじめに川井正剛同農協常務理事が、「昨年同会が発足したが、テレビ、マスコミ等でも長寿をもたらす奄美の食が紹介され、反響を呼んでいる。活動を通じて、地場産業育成に寄与できれば」とあいさつを述べた。

 研究講演では、三村教授が老化などをもたらす「活性酵素」を抑える「抗酸化成分」が、奄美など南国の野菜、果樹、海藻などに多く含まれていると説明。続いて同町側が実験材料として三村教授に提供しているソテツ、キビ、キビ酢についての研究成果を発表した。

 ソテツの発酵デンプンのメタノール、n−ヘキサンを溶媒とした抽出エキスをヒト骨髄白血病細胞の培養液に添加して培養。すると細胞の変形、凝縮が見られ、白血病細胞の増殖抑制が見られたことを報告。三村教授は「白血病細胞を自殺に追い込む」とこの活性を説明した。

 キビ酢については、同大学院生の鈴木賢洋さんが発表。キビ酢のメタノール40%、60%に著しく強いがん細胞抑制効果が見られたこと報告。同様の効果はキビ自体にも見られ、三村教授は「キビの中に抑制効果があるが、キビ酢とは違う成分。キビの成分が自然発酵で変化したのでは」との見解を述べた。今後の課題にはソテツ発酵デンプン、キビ酢などの具体的な活性の働きなどを挙げた。

 また調理などの面から奄美の長寿食を研究する「奄美長寿食文化研究会」の久留ひろみ主宰が「奄美の郷土料理と長寿について」特別講演。素材の持つ機能性は調理の仕方によって大きく変化するとして、奄美の郷土食つばしゃ野菜、雑穀、薬草、味噌の健康への効果を説明。また民間療法に利用されていた食材の見直しの提唱や、奄美の気候、風土などの環境も長寿につながっているなどと話した。

大島新聞4-20

 

南海日日新聞4月20日 平成15年4月20日

「ソテツの発酵でんぷんに白血細胞増殖抑制」

〜奄美かけろま食文化研究会講演会 

 

 奄美かけろま食文化研究会(会長・三村精男山梨大学工学部教授)の2003年度第一回研究講演会が18日、瀬戸内町のせとうち物産館であった。三村教授が健康食品と活性酸素の因果関係を説明し、サトウキビ、キビ酢の効能やソテツに含まれる発酵デンプンがヒト白血病細胞の増殖を抑制するという観察結果を示した。三村教授は今後、因果関係を解明したいとしている。特別講演では奄美長寿食文化研究会主宰の久留ひろみさんが奄美の郷土料理と長寿について講演した。

過剰な活性酸素の発生が、がん、心臓病、脳卒中など三大成人病や老化を引き起こす原因となっていることはよく知られているが、ストレスや洋風の食事が活性酸素に襲われやすい体質になりがちなことから、最近では日本の伝統的な食事が見直されている。食文化研究会は長寿地域である奄美を研究し、知恵として活用しようと始まった。

三村教授は奄美が@ソテツデンプンを常食する習慣があるAサトウキビを原料とする酢や焼酎が家庭で作られてきた―という点に着目。ソテツ発酵デンプン抽出液を七種類のヒト白血病細胞培養液に添加したところ、増殖抑制効果を示したという。

発酵デンプンには油に溶ける親油性と水に溶ける親水性の二種類の異なった有効成分が含まれていると考えられており、これらに何らかの因果関係があるとしている。どのような成分がヒト白血病細胞を「自殺」に追い込むのかは、今後医学研究者と共同で解明する予定にしている。

サトウキビ、キビ酢の効能については山梨大学大学院生の鈴木賢洋さんが研究発表。サトウキビ、キビ酢に強い抗酸化活性成分があった実験結果を紹介。サトウキビそのものが強い日差しの下で元気に育つために必要な成分が、奄美古来の健康食品の成分だったと考察した。

久留さんは長寿世界一・本郷かまとさんが雑穀を主食にしている事を紹介。発酵食品を使った「命薬(ヌチグスリ)」という奄美の食事療法が長寿に影響を与えている点について科学的に調べる必要があるとした。

また、奄美より復帰が遅れ欧米型の食生活が定着している沖縄を反面教師に、地産地消を含めた「食育」浸透させていきたい考えも示した。

 

南海日日新聞4-20